こんにちは、休日ミュージシャン育成トレーナーの織沢てつろうです。
今回は、映画【天気の子】の主題歌【愛に出来ることはまだあるかい】歌い方解説です。
哲学的な歌詞を、おしつけがましくなく、小難しくなく、
幻想的なアレンジと野田洋次郎氏の歌声がなんともいえないファンタジーな世界観を演出しています。
野田洋次郎氏の特徴的な歌い方は、こちらでも紹介しているので、こっちも参考にしてもらえれば!!
では、歌い方解説にいってみましょう!!
もくじ
小節頭のメロディー(歌詞)を把握する。
歌詞を見ながら歌うと、歌詞のどの部分が小節の頭、1拍目に来るのか分からないで歌ってしまうことがよくあります。
まず冒頭のAメロ
【なにももたずに】【うまれおちたぼく】【とわのすきまで】【のたうちまわってる】
この赤文字になっている部分と青文字の部分で何が違うか分かりますか?
赤文字のグループは、
1拍目とメロディーのスタートが一緒になっているフレーズです。
青文字のグループは、
1拍目より前に、メロディーがスタートしているフレーズです。
青文字のグループの1拍目より前に始まっている部分を少し意識するだけで、スピード感が全く変わります。
言葉の説得力も増していきます。
【うまれおちたぼく】
【のたうちまわってる】
この2つのフレーズでは、赤文字の部分が小節の1拍目にあたります。
この部分の音量感はこうなります。
【うまれおちたぼく】
【のたうちまわってる】
実際の歌を聞いてみると良く分かると思いますが、
小節前からメロディーが始まっている部分は、装飾音のようなイメージで、
小節頭(1拍目)のメロディーに重きをおいて歌うと非常に耳障りの良い歌い回しになります。
1拍目より前にメロディーが始まっている部分は全部そのように歌わないといけないわけではないんですが、
基本的にそのように歌った方が、説得力のある歌になりやすいので、その部分をチェックしてみてください。
飽きさせない工夫を!!
この曲は、メロディーラインのバリエーションがかなり少ない構成の曲になっています。
Aメロ、サビの構成です。
それに加えて、大サビが入ってくるんですが、
基本的には、Aメロとサビの部分が大半を占めています。
歌詞は違えど、同じメロディーが続くので、他の曲以上に飽きさせない工夫をしたいところです。
曲自体も長いので、1本調子の歌になってしまうと、聞いている人が疲れてしまいます。
色々とやり方はあるんですが、この曲で野田洋次郎氏の歌の変化に注目してみてみましょう。
【それでもあの日の】
ひたすらAメロが続く曲ですが、その中でもこの部分から、少し声色が変わっています。
動画の1:19あたりです。
共鳴部分を変化させていく
その部分までは、囁くように歌っていましたが、サビに向けて声色を変えて行っているのが良く分かります。
少し低音の成分が増して、説得力を出しているような声色です。
囁くように歌っている部分は、主に鼻腔共鳴で歌っています。
【それでもあの日の】
この部分からは、口腔共鳴を強めにしています。
少し口を縦に開けて、今までのフレーズより、口周りを軽く張ります。
試しに、【それでもあの日の】の部分を、
- 完全に口周りを脱力した状態
- 軽くあくびをして張りを持たせているような状態
で歌ってみてください。
声色が変わるのが分かるでしょうか?
1の状態は、かなりソフトな歌声に
2の状態は、低音成分が増されて、声の圧力が出る歌声になります。
2の状態で、口の中の張りを強めれば強めるほど、ハッキリとしたパワフルな声が出ます。
西川貴教さんのようなテイストです。
この曲の場合、同じメロディーが続くので、
口の張りがずっと同じような状態にするよりは、変化させていった方が、音色のバリエーションがついて、歌に面白みが出ます。
アレンジに沿って声色を変えていく。
どういった部分で声色を変えていけば、なかなか分かりにくいかもしれません。
そこで1つの指標として、
アレンジのダイナミクスに沿って変化させていく。
この意識を持っていればほぼほぼ間違いありません。
まれに、オケは盛り上がっているのに歌は呟くように歌っているような曲もあるんですが、
それはギャップを狙ってあえてやっているような場合です。
動画の1:19あたりの、
【それでもあの日の】
このあたりから、ループと言われるリズムを感じさせるパーカッションのフレーズが増えていきます。
それに沿って音色が少しだけ力強くなっています。
逆に、動画3:04秒あたりは、
【さだめとはつまり】
この部分は、ドラムやストリングスで盛り上げていた状態から、音数が一気に減ります。
かなり静かなオケになっている部分で、
サビの部分のように、勢いのある声でハッキリ歌いすぎると、歌だけが大きくうるさい印象になってしまいます。
なので、この部分もしっかりオケにより沿って、囁くような歌声に変化させていきます。
歌詞だけを見ていると、どうしてもオケが耳に入らず、
歌だけが一人歩きしてしまうようなことがよくあります。
他の楽器と同様に、
歌も曲を構成する1部分
このような意識で歌い、
他の全ての楽器にも意識を向けることで、
曲のアレンジ沿った自然な歌になっていきます。
先ほどの、飽きさせない歌という部分にもしっかり繋がっていく大事な部分です。
今回のような、曲の時間が長い大作ではいつも以上に重要な要素となっていくので、
この部分をしっかり注意して練習してみましょう。
以上、愛にできることはまだあるかい【RADWIMPS】歌い方解説〜映画主題歌編〜でした。
それでは、また次回のブログでお会いしましょう。